日本人は耳が悪い?英語のリスニングができないのは聞こえていない音があるからだった

日本人は英語の発音が下手だけど、それは、英語が聞き取れないコトと無関係ではないでしょう。
英語を「聞き取れない」というとき、いったい何が聞き取れないのでしょう?
子音が聞き取れていないのかな?
いや、それとも「音」そのものが聞こえないなんてことがあるのだろうか?
そんなことから、語学習得の臨界期仮説についても考えてみました。

聞こえてる音が違う?

若かりし頃の思い出、わたしはそれなりのロック少女でした。
ジャニーズには一切転ばず、洋楽ロック一筋。

そもそも、中学のころに、洋楽の歌詞の意味が知りたくて英語に興味を持ったのでした。(この話はいづれまた)

友だちにもロック好きが多く、バンドを組んでる仲間もいっぱいいました。

そんな友達の一人とドライブしていた時の事、カーオーディオからは陽気なロックのナンバーが流れてきました。
ブライアンアダムスのDianaです。

Diana~♪

久々に聞きましたが、やっぱいい曲ですね。かのHeavenのB面だった曲で、アルバムには収録されていない名曲です。
この曲は、イギリスのプリンセスダイアナとチャールズの結婚を揶揄したものとして、ちょっとスキャンダラスに報じられたこともある曲です。そんな背景は抜きにして、陽気でノリのいい曲調で、当時わたしも好きな曲の一つでした。

気分よく聞いていると、突然車を運転していた友だちが言うのです。

「これさ、何ていってるの?エーナーって聞こえるんだけど、どういう意味?」
サビの部分、
「♪ダイアーナーー 」とうたっているのが、なんと、友達には、
「エーナーー」としか聞こえないという。。
初め冗談かと思ったら、ホントらしく。
私には普通に「ダイアナ」と聞こえるので、コイツは耳が悪いのではと思ったくらいです。

実際に英語圏の人には「日本人は耳が悪い」と思われているみたいです。
子音の”d”が聞こえていないってことかな?
母音のaは聞こえるので、エーナーとなるとか??
当時の私には、その理由はわからなかりませんでした。

でもこれはその友だちに限らず、たいていの人が「英語のリスニングが苦手」というのは、聞こえていない音があるんじゃないか、ということに気づいたんです。

聞き取れる音にも「臨界期」はあるのか?

言葉を覚えるのには「臨界期」があって、ある年齢を過ぎると言語の習得が不可能になるという仮説があります。いわゆる「臨界期仮説」というやつです。

皆さんも聞いたことありませんか?「外国語学習は3歳までに」とか「7歳以降ではバイリンガルになれない」とか。

音の聞き分けと、語順などの文法、語彙力などによって、それぞれ臨界期が違うようで、この音を聞く・発音するという能力の臨界期が意外と早いようなのです。
「臨界期」の研究によれば、7歳までは母語以外の言語も問題なく習得できることがわかってきました。さらに、音の認識に関しては、ワシントン大学のPatricia Kuhl教授が興味深い実験をしています。実験は、日本人とアメリカ人の赤ちゃんを使って、”r”と”l”の音を聞かせるというもの。

それによると、赤ちゃんの脳は、生後6~8か月の間に、効く音と聞かない音を区別するというのです。赤ちゃんは生後6~8か月までは、どんな言語の音も聞こえる耳=認識できる脳を持っています。しかし、10~12か月後になると、母語以外の音の聞き取りが難しくなるということです。

赤ちゃんが1歳になる前に、母語と他の言語を区別しているなんて、驚きですね。
この時点で「母語ではない」と区別された言語の音は、あえて聞こえないように脳が処理しているんですね。その方が効率がいいのでしょうか。

「聞こえない音は発音できない」というのはよく知られています。ろうあの方たちは、声を出す機能に問題があるわけではないのに、音が聞こえないことによって発音ができません。人間の脳は、耳で聞こえた音を声として発音できるようになっているんですね。

臨界を超えてもあきらめない。カギは社会性

ここまで聞くと、もう大人になってしまったら英語を学ぶのは無理なの? と、絶望的になってしまうかもしれませんが、実は、言語の習得は何も音だけが重要なのではありません。最近の研究では、コミュニケーション能力を扱う「社会脳」が、言語習得に大きくかかわっていることがわかってきました。

新しい言葉を学んで何がしたいのか、目的意識をはっきりと持つことが大切なんだそうです。ここでいう目的というのは、成績アップとかではなくて、社会的なつながりのための目的を指します。仕事でどうしても必要、というものから、英語を学んで友達を作りたい、とか映画を字幕なしでみたい、とか、そんな理由でもいいでしょう。それで学ぶ意欲も高まり、繰り返し学習することである程度克服できるといわれています。

実際に、英語の歌や英語教材の音声CDを繰り返し聞いていて、ある時急に今まで聞こえなかった音が聞こえる時ってありますよね?単語とかフレーズが急に聞き取れて、「あ、こう言ってたんだ」みたいな。わたしは何度もそういう経験があります。
赤ちゃんの時に脳が「必要ない音」として聞こえないように分類した英語の音も、繰り返し聞くことで、脳はまた少しは思い出してくれるのかな?

そうだといいなと思って、またCD聞いてみます。

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